インタビュー 医師

高山に来る前は岐阜県の大垣市民病院で働いていましたが、医局人事で当院に転勤となりました。当初は半年の赴任予定でしたが、その後も残ることになり今に至ります。半年働いた時点で、残ることに異存はありませんでした。都心の基幹病院ほど忙しくはなく、手術の経験を積んで臨床医としての力をつけられる環境だったからです。先生方やコメディカルの方、職員さんが親切で働きやすいと感じたことも理由の一つです。

医局人事ではありますが、地方への転勤を希望する医師は少ないため、高山に赴任してもいいという意思表示をしたところ、希望通り転勤することになりました。妻が高山市の出身で何度も訪れたことがあり、高山のまちによい印象をもっていたこと、子どもがまだ小さく、妻の実家の近くで暮らせば安心だろうと考えたことが理由です。病院施設が新しくきれいで、規模感もほどよいのできっと働きやすいだろうと思っていました。

当院は広大な飛騨医療圏で地域の中核病院として機能しており、回診、外来、手術とさまざまな症例について経験を積むことができます。日々学びがあり、上司の先生方から助けていただきながら少しずつ成長しているのを実感できます。忙しすぎないため一人ひとりの患者様に対して丁寧な診察ができ、患者様と関係性を構築しながら診療ができることもやりがいになっています。

前向きな挑戦に対して後押ししていただける点です。例えば、私は転勤してきた際、当院において日本消化器内視鏡学会の指導施設認定を取得することを目標としました。消化器内視鏡専門医の教育指導を行うことができれば、当院で働く若手医師のキャリアアップにつながります。赴任早々、認定取得のためのシステム変更を要望したところ、病院がすぐに動いてくれて認定取得が叶いました。

いろいろな症例に対応する必要があるのは大変です。はじめての症例や手術にあたる際は、経験豊富な先生方に助けていただきながら臨んでいます。また、治療困難な症例、改善の手立てがない症状にあたることもあり、そういうときは精神的な疲労が大きいです。

常勤医師不在の科があり、自分の専門外の症例について院内で即座に相談したり診察を依頼したりすることが困難なケースがあります。急を要する場合は、知り合いの医師に相談することもありますし、他院と連携を図るなどして対応しています。また、医師が少ない分、休みづらい、待機回数が多いという苦労もたまにあります。

外科には経験や実績の豊富な指導医の先生方が多くいますが、そういった先生でも物腰は柔らかく、なんでも相談しやすい雰囲気です。医局全体で見ても、他科との連携が十分に取れていて、スムーズな診療ができます。医局は全ての診療科が一つの部屋に集まっていて、日常的にコミュニケーションをとりやすい環境であることが要因かもしれません。

患者さんもスタッフも優しい方が多く、院内は穏やかな空気が流れています。医局は科と科の垣根が非常に低く、相談がとてもしやすいです。規模がそれほど大きくない病院ですので、自然と協力し合う関係性を築けているのだと思います。また、自分の希望が通りやすく、やりたいことをサポートしていただける環境です。規模の割に最新の医療や高度な専門治療を行うこともできます。

当院にいる間に消化器外科専門医を取得し、臨床医としての力をつけていきたいです。その後は大学病院に戻って博士号の取得を目指す予定ですが、臨床の場で経験したことを研究に結びつけて論文作成や学会発表をし、医療発展に貢献していきたいです。

自分から希望しない限り転勤はないと思いますので、このまま当院で働き続ける予定です。特別な目標があるわけではありませんが、目の前のことに集中し、自分にできることをコツコツとやるのみです。現役の間は自由に休みが取りづらいので、欲を言えば少し早めにリタイアして、元気なうちに気兼ねなく旅行でもしたいと思っています。

体を動かして汗をかくのが一番のリフレッシュ方法です。学生の頃からバスケットボールをしていて、高山に来てからは地元の社会人チームを紹介してもらって参加しています。自宅から車で10分ほどのところには市営のジムがあるのでよく利用しています。体を動かした後は、銭湯に行くのがルーティンです。

休みの日は家族で少し遠出して買い物をし、温泉に寄って帰ってくるのが定番の過ごし方です。冬はスノーボードによく行きます。高山に住んでいると、自宅から車で1時間圏内にゲレンデがいくつかあるので通いやすく、家族みんなでを楽しんでいます。

高山はまち全体がのんびりとしていて、人も比較的穏やかです。景色がよく、食事のレベルが高いので、暮らすには快適です。病院内も落ち着いた雰囲気で、都会派でいつも忙しくしていたいという人は合わないかもしれませんが、1症例ごとに深くじっくりと向き合いたいという人にはぴったりではないでしょうか。臨床医として成長できる環境が待っています。

内科系は常勤医師が少ないこともあり、ときには専門以外のことも求められます。自分の領域を広げていろいろやりたい人、できる人は重宝されます。都会の急性期病院ではないものの、急性期から慢性期までバランスよく経験することができ、自分次第で高度な知識や技術を身につけることもできるので、主体的に学ぶ姿勢のある方にはよい病院だと思います。